変形性ひざ関節症(2011/06/01)

 「ひざが痛い」、「ひざが曲がりにくい」。


 膝(ひざ)の痛みを訴える中高年の方に、変形性膝関節症という病気が多く見られます。 


 変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減って起こる病気です。男性より女性に多く、肥満の方やO脚の方もなりやすい傾向があります。歩きはじめや、階段の上り下りのときに痛い、正座がしにくい、そういった初期症状があります。膝には歩くだけでも体重の約3倍、走っているときには約10倍の負担がかかっています。その負担を和らげるために、膝関節には軟骨がありますが、加齢や体重の増加、筋力の低下などによってすり減ってきます。予防には、なるべく重たいものを持たない、長時間歩き過ぎないなど、膝に負担をかけない生活を心がけることが大切です。適度な運動、大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えるなどのリハビリも効果的で、膝を安定化させます。


 治療法としては、大腿四頭筋を鍛える運動療法、消炎鎮痛剤の飲み薬や貼り薬、膝関節にヒアルロン酸を注射するなどの薬物療法があります。靴の中に足底板を入れO脚を矯正する方法もあります。保存的治療で効果がみられない場合には、外科的治療(骨切り術、人工関節に置き換える手術など)が必要となる方もいます。


 ヒアルロン酸とは、非常に保水力の高い物質で軟骨や関節液に含まれていて、関節を滑らかに動かすための潤滑油のような働きをしています。年齢とともに、膝関節内のヒアルロン酸が減ってきて、滑らかに動かなくなります。そこで、同じ成分のヒアルロン酸を関節内に直接注射することによって補い、関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減し、進行を抑える効果を期待します。


 この疾患は、変形が進んでしまう前の治療が重要です。また、膝痛の原因として、半月板の損傷を合併している場合などもあるため、注意が必要です。


 膝に痛みを感じたら、早めに受診して適切な治療を開始していただきたいと思います。


 


三宅整形・リハビリクリニック


三宅 基夫


一覧に戻る

Copyright (C) 2001-2006 Nakatado gun & Zentsuji city Medical Association. All Rights Reserved