膝の痛みとリハビリテーション(2011/07/01)

 病院にかかる大きな理由の一つに“膝の痛み”があります。老若男女を問わず、膝の痛みは生活に支障をきたします。特に中高年になると、要介護や寝たきりの原因になる理由に挙げられます。中高年においては、膝関節に過大な負担が繰り返しかかるために関節が変形する変形性膝関節症が痛みの原因となる場合が多いです。変形性膝関節症の治療において重要なことは、自覚症状を感じた早期から、適切な治療を受けることです。


 変形性膝関節症の初期症状には、以下のようなものが挙げられます。


@   歩きはじめたとき、膝に痛みがある


A   階段の上り下りのときに、膝に痛みがある(特に下り)


B   立ち上がるときに、膝に痛みがある


C   膝に水がたまって腫れる


D   朝起きたときに、膝がこわばる


E   膝の内側を押すと、痛みがある


 このような早期の段階から、医師の診察と適切なリハビリテーションを受けることで、膝の痛みは解消されることが多いです。


 リハビリテーションでは、まず膝にかかる負担を知ることが重要です。床から立ち上がるときには体重の2倍、歩行時には3倍、走行時には6倍〜10倍の負担が膝にかかります。この負担から膝を守るためにも、膝の曲げ伸ばしに必要な太ももの前側の大腿四頭筋という筋肉を鍛えることが必要です。「昨日歩きすぎて、膝が痛くなったからもう歩かない」等と、過度な安静により痛みが増すことも多いため、適切な運動指導も重要です。また、理学療法士による徒手療法も効果があります。膝周りの負担がかかりすぎている筋肉を和らげ、関節本来の動きを引き出すことで、痛みが解消される場合も多いようです。


 変形性膝関節症が進行すると、関節の変形進行と痛みの増悪により、手術が必要になる場合があります。そうならないためにも早期の段階で医師の診察を受け、適切なリハビリテーションを実施する必要性があります。膝に違和感がある段階で、かかりつけ医に相談してみてください。


 


ふじた医院  藤田 博崇


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