冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の危険因子と予防について(2011/10/03)

 「血圧が高い」、「コレステロールが高い」、「糖尿病の気がある」。日常生活は何の問題もなく送れているにも関わらず、こういったことで治療を受ける必要があるか疑問に感じたことはありませんか?


 これらは全て動脈硬化を進める要因で、動脈硬化の危険因子といいます。動脈硬化とは血管が傷むことですが、血管が傷むと何が問題なのでしょうか?


 血管は全身に張り巡らされています。その血管を水路のようにして、血液を介して酸素や養分が運ばれます。血管が傷んで狭くなると流れにくくなりますし、詰まってしまうとその先に栄養が届かなくなります。血管が詰まった場合、いままで運んでいた酸素や栄養が途絶えてしまうため、兵糧攻めにあった形となり、その先の細胞や組織が死んで(壊死して)しまいます。血管が詰まって細胞や組織が壊死してしまう状態を梗塞といいます。よく耳にする「心筋梗塞」という病気は、まさに「心臓におこった梗塞」のことなのです。心臓に梗塞がおこれば、全身に血液を送れなくなり、命の危険にさらされます。


 この重大な病気が起きないように普段から心がけておくべきことが、「血圧の治療」、「コレステロールの治療」、「糖尿病の治療」なのです。


 我が国の研究において、危険因子(肥満・高血圧・高血糖・高脂血症など)を重複して持っている人ほど、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)を発症する危険性が高まると報告されています。危険因子が無い人の心筋梗塞発症の可能性を1.0とすると、一つ危険因子が増えるごとに倍、倍と発症のリスクが上がると考えてよいと思います。これに加えて、喫煙や過去に心筋梗塞を起こしたことのある人なども発症の可能性が高くなると言われています。健康で普段通りの生活を送るためにも、高血圧、コレステロール異常、糖尿病を指摘されたら、できるだけ早期に治療を受け、適正に管理されることをお勧めします。


 


国立病院機構 善通寺病院 循環器内科


大野 孔文・福田 信夫


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