ヘリコバクター・ピロリ菌について(2012/07/03)

   リコバクター・ピロリ菌をご存じでしょうか?最近ではヨーグルトのCMなどでも時々でてきますので、名前ぐらいは聞いたことがある、という方も多いと思います。

ピロリ菌は、ヒトの胃の中に感染し住み着いている菌で、この菌に感染していると胃の粘膜が慢性的な炎症を起こし、それに伴って胃・十二指腸潰瘍や胃癌が発症するリスクが高くなることが分かっています。また、ピロリ菌の感染により、リンパ腫や特発性血小板減少性紫斑病という、リンパや血液の疾患が発症することも報告されています。

感染経路はよくわかっていませんが、井戸水や衛生状態の悪い食品、乳幼児期の離乳食の口移し等により感染するのではないかと考えられています。現在、日本人の感染率は、20代・30代では20%〜30%程度ですが、年齢とともに高くなり、60代では60%、70代では70%の人が感染しているといわれています。

ピロリ菌に感染しているかどうかを調べる検査は、内視鏡、血液検査、便検査、呼気検査等、いろいろな方法があります。また、検査によりピロリ菌に感染していることが判った場合、抗生物質と胃酸を抑える薬を飲み合わせて服用することで、かなり高い確率で菌を除菌することができます。

現在のところ残念なことに、ピロリ菌の除菌治療が保険適用となるのは胃・十二指腸潰瘍のある方のみで、その他の方は自費での治療となってしまいます。しかし、日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、胃癌のリスクを下げる点から考えて、ピロリ菌感染のある方は全員除菌治療をした方が良いとされています。

胃・十二指腸潰瘍がある方はもちろんですが、潰瘍の無い方も少し高額になりますが、胃癌予防の観点からピロリ菌の検査・治療を受けることを考えてみてはいかがでしょうか?

                                                                                                                                        善通寺前田病院 前田 純 

 


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