グレープフルーツと薬剤の「飲み合わせ」(2012/11/01)

世の中には食品の「食べ合わせ」というのがあります。例えば、ニンジン+ダイコンというようなものです。同様に、薬と一般商品との「飲み合わせ」のようなものがあります(相互作用)。

有名なものでは、グレープフルーツ(以下GF)と、ある種の血圧を下げる薬(降圧剤)や、コレステロールを下げる薬を同時に服用するとよくない、もしくは危険とされる状態になります。(水で服用せず、GFで服用するというようなことです。)

降圧剤では、一般的に広く服用されているカルシウム拮抗剤という一群のものがそれです。

GF中に含まれているフラボノイドの一種が、CYP3A4という薬剤の分解をする酵素の働きを阻害し、薬剤の分解が遅延するため、血中(体内)濃度がひどく上昇し、時に数倍以上になるようです。(1錠服用するところを何錠も服用したのと同様になる。)さらに、それが10時間以上、数日間も影響を与えるともいわれています。程度としては、GFの種類、産地、収穫時期、服用した人の個人差、量等により、さまざまとされています。

同じことが、降圧剤のカルシウム拮抗剤ばかりでなく、スタチン系といわれ、これまた広く一般的に使用されているコレステロール低下剤の一部や、ある種の入眠剤等、多種多様な幅広い薬剤でも認められています。

ここでは、紙面の都合上すべて挙げられませんが、実にたくさんあります。

よって、上記の薬剤を服用している人は、GFやその仲間であるブンタン・いよかん等を食し、またその果汁を飲むときには十分な注意が必要です。なお、同じ柑橘系でも、レモン・温州ミカン等にはこのような作用はないとされています。

 

           山下内科医院   山下 正樹

 

 


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