入浴中の突然死とその予防(2014/09/01)

 「長風呂を 何度も呼ぶな 生きてるぞ」

という還暦川柳がありましたが、高齢者がお風呂の中で急死していることがよくあります。

 入浴中の死亡者数は年間一万数千人と推計され、これは交通事故死の約2倍、熱中症死の10倍以上です。死亡者は寒い時期に多く、夏は少ないなど、気温の変化と密接に関係しています。

 また、外国人に少なく、日本人に圧倒的に多いのも特徴です。これは、日本人の入浴の習慣に原因があると考えられています。日本人は疲れた時、「ゆっくりお風呂に入って休みたい」というように、お風呂の中で、心身をリラックスさせて入浴を楽しむという習慣があります。しかし、高齢者にとっては、この至福のひとときに突然死の危険が潜んでいます。

 寒い場所で服を脱ぎ、いきなり熱い湯に浸かると、短時間で皮膚温度が急上昇し、皮膚血流量が著しく増加して、血圧の急変動を生じさせます。その結果、心臓や脳血管発作を起こして意識障害を来たし、浴槽内で溺死すると考えられています。

 

●予防には次のことを注意しましょう。

  ・寒い日には脱衣場や浴室を温めておく。

  ・熱い湯の入浴や長風呂は危険です。湯温はぬるめの41度以下にする。

  ・食事直後や気温の下がる夜間の入浴は避ける。

  ・精神安定剤、睡眠剤の服用後や飲酒後の入浴は危険。

  ・高血圧、心臓病、脳疾患のある人は特に注意。

 

 これから寒い季節に向かいますので、高齢者の方は、十分注意してください。また、元気で自立している高齢者が一人で入浴している時に急死することがあります。ご家族の方は冒頭の川柳のように声かけをしてあげてください。

 

            吉田医院   吉田

 


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