尿たんぱくについて(2014/10/01)

  本年度も6月から10月末まで、特定健康診査が実施されています。皆さんは検診を受けましたか?今回は、検診でも実施される尿検診についてお話したいと思います。

 腎臓は、血液をろ過し、不要な水分とともに、体内に生じた不要な物質・老廃物、過剰な塩分を排泄しています。たんぱく質など必要なものは排泄されないため、病気のない方には通常、尿にたんぱくはほとんどみられません。尿にたんぱくが漏れている場合には、腎臓に病気がある可能性があります。代表的なものとしては、

  ・慢性腎炎

・糖尿病に伴う腎臓病(糖尿病性腎症)

・高血圧症による腎硬化症

が挙げられます。これらの病気では、腎臓の糸球体という部分でたんぱくが漏れ出ている場合が多いとされており、漏れ出る量が多いほど腎臓が悪くなりやすく、透析(体に不必要な物質を人工的に体外に除去する方法)を受けなければならなくなる確率が高いとされています。つまり、尿に漏れ出たたんぱくは、将来、腎臓が悪くなるかどうかを判断する指標になるといえます。また、持続的に尿たんぱくがあると、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)が起こりやすいことも知られています。

  多くの腎臓病は、末期になるまで症状が現れにくいため、尿検査の異常、腎臓が警告の信号を送ってきていると考えてください。そして、症状のあるなしに関わらず、検査で異常を指摘されたときには必ず再検査を受けてください。再検査でも異常があった場合には、定期的・継続的に検査を受け、悪化していないかを観察する必要があります。特に、尿検査でたんぱくが「2+」以上漏れ出ている状態が続く場合は要注意です。

          田所医院   田所 久徳


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