インフルエンザワクチンについて(2014/11/04)

  インフルエンザは、毎年冬に流行する急性呼吸器感染症です。突然の高熱、咽頭痛や頭痛などで発症し、時に肺炎、脳炎・脳症、心筋炎など重篤な合併症を起こします。5歳未満の子ども、妊婦、65歳以上の高齢者、糖尿病、心臓や肺に基礎疾患がある人は重症化しやすく、合併症を起こすリスクが高くなる傾向があります。

インフルエンザの予防のためには、流行期に入る前にワクチンを接種することが重要です。ご存知のように、ワクチンは毎年接種する必要があります。その理由は、ワクチン接種により獲得した免疫(抗体)は3〜4か月しか維持されないからです。接種回数は中学生以上が1回、生後6か月から小学生以下までは(1〜4週の間隔で)2回が基本となり、インフルエンザA型とB型に対する抗体が獲得されます。

毎年、「予防接種したのにインフルエンザにかかった。だから今年は接種しない予定。」など話しているのをよく聞きます。確かに、ワクチンを接種してもインフルエンザの発症を100%予防することはできません。しかし、65歳以上の健常な高齢者においては、約45%の発症予防と約80%の死亡阻止効果があるといわれていますし、1歳以上6歳未満の子どもにおける有効率は少し低いものの、インフルエンザによる合併症のリスクを考えるとやはり接種が推奨されます。

ワクチンには極微量の鶏卵由来成分が含まれるために、卵アレルギーを持つ子どもには問題となる場合があります。しかし、「全く接種できない」というのは誤解で、卵によりアナフィラキシー反応などの重篤な全身症状を起こした既往がなければ、接種は可能といわれています。ワクチン接種により得られる恩恵が、起こりうる副作用よりも大きいことがあるので、かかりつけの先生とよく相談してみてください。

 

                  四国こどもとおとなの医療センター 小児科、小児感染症内科   岡田 隆文


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