アレルゲン舌下免疫療法(2016/06/02)

 今や国民病ともいわれるアレルギー性鼻炎ですが、治療には薬物療法・手術療法・アレルゲン免疫療法などがあります。

しかし、免疫療法以外は対症療法にすぎません。免疫療法とはアレルゲンを少量ずつ投与して体質を改善する唯一の根本治療です。これまでも注射による皮下免疫療法は行われてきましたが、頻回の通院・注射による痛み・ショックなどの副作用であまり普及しませんでした。

平成26年にスギ花粉症に対して花粉エキスを舌下に垂らして少しずつスギ花粉に慣らしていく舌下免疫療法薬が保険適用されました。自宅での治療が可能なため通院回数が減り、注射のような痛みもなく患者さんの負担を軽減できます。口の中の異常感などの局所症状がみられることはありますが、注射と比べて重い副作用は少ないとされています。

平成27年にはダニが原因のアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法薬も使用できるようになりました。この治療は即座に効果がでるものではありません。毎日一回、最低でも2〜3年は治療用エキスの服用を続ける必要があります。2〜3年で約7割の患者さんに効果が出ると報告されていますが、すべての人に効果があるわけではありません。

ダニの免疫療養は時期に関係なく開始できますが、スギの治療は安全のため花粉の飛散する時期には治療を開始することができません。また、12才未満の小児・妊娠中の人・重度のぜん息のある人・全身的な重い疾患を有する人などには施行できません。まだ始まったばかりの治療ですが、アレルギー性鼻炎の治療に期待がもてます。

 

耳鼻咽喉科小野医院   小野一郎 

  


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