高齢者肺炎(誤嚥性肺炎)(2017/11/03)

 高齢者の肺炎は急増しています。中でも下部呼吸器感染症(誤嚥性肺炎、肺炎など)はその代表で95%が高齢者です。高齢者は、いろいろな臓器の病気を持っているのが特徴です。

 例えば脳梗塞、慢性閉塞性肺疾患(タバコによる肺障害で酸素吸入を必要とする)などです。高齢者肺炎は若年者、成人と異なり高熱を伴わない肺炎などが通常です。脳梗塞症例の場合は肺炎、その再発など日常茶飯事です。肺炎は複雑化し、難治例が増加しています。(免疫機能の低下、抗菌薬使用の増加、耐性菌の出現などが考えられます)

 症状は咳、痰、発熱、呼吸困難などが見られますが、時にはいつもより元気がない、食欲低下、意識障害、不穏、せん妄、いつもと様子が違うなどからは肺炎も考えてみる必要があります。

 誤嚥性肺炎は鼻、口および胃・食道逆流液による肺への流入により起こる肺炎です。その結果、激しく咳をして嚥下物を喀出しようとする反射が防御機構として働きます。

しかし高齢者では脳梗塞、認知症、反回神経麻痺などが原因となり防御機能が低下し、無意識のうちに口腔、咽頭分泌物を少量誤嚥することが高率に認められます。

 また脳神経血管障害があると、夜間寝ている間の嚥下機能低下により、嚥下物の排出困難となり発病します。さらに食道裂孔ヘルニアの存在などにより、胃・食道から気管支への逆流が生じ、誤嚥性肺炎へと進展します。再発を繰り返すうちに肺障害へと進展し、生命を脅かすものとなります。(急性肺損傷、急性呼吸促迫症候群)規則正しい生活、歯みがき、軽い運動など日々の健康管理こそが重要です。

 

 

善通寺前田病院   佐尾山 信夫


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