先天性心疾患について(2018/04/02)

 生まれつきの心臓病(先天性心疾患)は軽症から重症まで多種多様です。生まれて間もなく心臓カテーテル検査や心臓手術を頑張って受けないといけない子供たちがいる一方で、ゆっくり経過を見られる子どもたちもいます。そのような先天性心疾患の頻度は『赤ちゃん100人に対して1人』と決してまれではありません。そして、先天性心疾患が見つかるきっかけには『低酸素血症』『心雑音』と『学校心電図検診』があります。

 生まれてきた赤ちゃんは生後5日間くらいまで産科でお母さんと一緒に過ごします。産科では赤ちゃんの指などで酸素濃度をチェックしているのですが、もし酸素濃度が正常より低めといわれた時には、心臓の検査を受けるよう産科の先生に手配してもらいましょう。

 一方、先天性心疾患を疑うきっかけとして『心雑音』の有無はとても重要です。『心雑音』は心臓の音を聴診した時に聞こえる雑音のことで、赤ちゃん100人のうち20人で心雑音が聞こえるといわれていますが、心雑音が聞こえる20人のうちで本当に心臓病があるのは1人です。ただ、もし「お子さんには心雑音があります」といわれた時には、詳しい心臓の検査を受けることを強くお勧めします。

 小中高1年では生徒全員が学校心電図検診を必ず受けます。検診の時期には多数の生徒たちが精査のために当科を受診されていますが、ほとんどの方は正常です。しかし、やはり中には心臓病が見つかり治療を要することがあります。もし学校心電図検診で精密検査が必要といわれた時には、学校から受診するよう指導されますので必ず精査を受けてください。

 当科では、レントゲン、心電図、超音波検査といった体に優しい検査を主体に診断しています。また、非常に難しい心臓病では心臓カテーテル検査などの専門的な検査法を用いて、より良い方針を立てるよう努めています。

 

 

                  四国こどもとおとなの医療センター 小児循環器内科   大西 達也 


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