小児の貧血(2018/12/03)

  子どもでも貧血ってあるの?と思われるかもしれません。最も多いのは鉄欠乏性貧血です。名前のとおり、鉄の摂取不足、鉄需要の増大・鉄排せつの増加のいずれかの原因で起こります。

 乳児期ですが、鉄が母体からお腹の赤ちゃんに移行するのは妊娠後期であるため、早産児や低出生体重児では移行量が少ないために鉄欠乏性貧血を起こしやすくなります。また、離乳食が開始となった赤ちゃんでも母乳栄養が中心で離乳食がなかなか進まない場合には、母乳中の鉄含有量が少ないために、生後9か月頃から鉄欠乏性貧血になることがあります。鉄欠乏状態が長く続くと、易刺激性や言語理解・発語の遅れなど中枢神経系の発達の影響を与えるという報告もあり、治療をしたほうがよいとされています。

 幼児期・学童期では、貧血の頻度は低くなりますが、思春期になると急速な体の成長や無理なダイエット、不規則な生活、女児では月経開始により再度鉄欠乏性貧血の頻度が増えます。また、中学生の時期に部活動を頑張っている子では、スポーツ貧血がみられることがあります。これは運動時に足底で血球が壊されて、鉄が汗や尿と一緒に排せつされることにより、鉄欠乏となるといわれています。

 治療は鉄剤の内服を行います。並行して食事から鉄を十分摂取できるように栄養バランスのよい食事と鉄吸収率のよい肉や魚などの動物性食品を取るように心掛けていただくことで、2〜3か月後には貧血が改善していきます。

 もし、母乳はよく飲むけど離乳食の進みがゆっくりな赤ちゃんの顔色が白っぽいかも、と思われたり中学生になってスポーツ万能で元気だけど少し疲れやすくなったかな、フラフラすることが増えたかなと思われることがあれば、血液検査で調べることができますので病院を受診してください。

 

 

                 四国こどもとおとなの医療センター 小児血液腫瘍内科   河上 早苗


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