鼻出血(2019/01/04)

  鼻出血の場所で一番多いのは鼻中隔粘膜(鼻の中の左右を仕切る部分)からの出血です。その中でも特に多いのが鼻の入り口から約1cmの皮膚と粘膜が移り変わる部位で、粘膜が薄くて血管が多く集まっている部分です。

 空気の乾燥による痂皮形成、副鼻腔炎の耳漏に伴うただれ、アレルギー性鼻炎による痒みなどで無意識に指を入れたり、鼻をかみ過ぎたりする物理的刺激により粘膜に傷が付いて出血します。特に小児は鼻をかむ時の加減ができなかったり、強く鼻内をいじったりするため、普段から爪を切っておくなどの処置が必要です。高血圧や糖尿病などの基礎疾患があると動脈硬化が進み血管が脆くなり出血しやすくなります。

 また、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症の治療に使われる血液を固まりにくくする薬(ワーファリン、アスピリンなど)を内服していると出血が止まりにくくなります。まれではありますが白血病などの血液の病気や重症肝疾患で血小板が少なくなっても出血が止まりません。

 鼻出血は突然に起こることが多いため慌ててしまいがちですが、貧血になったり命にかかわることはめったにないので、落ち着いて対処することが大切です。

 出血時の止血法ですが基本的には鼻には何も入れず血液がのどに流れ込まないように椅子に前かがみになって座ります。小鼻(鼻のやわらかい部分)を親指と人差し指でしっかりつまんで数分間押さえることにより大半は止まるか勢いが弱くなります。鼻根部(鼻のかたい部分)をつまんでも効果はありません。それでも止まらない場合は、綿やティッシュなどを詰めて止血します。繰り返し出血したり量が多くなかなか止まらない場合は、医療機関を受診してください。

 

 

                                                                         耳鼻咽喉科小野医院   小野 一郎


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