成長痛ってどんな痛み?(2020/02/03)

  成長痛というのは以下のような特徴を持つ痛みです。

 ・夕方から夜間に下肢(膝周囲が多い)の疼痛を訴える。

 ・痛みの程度はさまざまで泣くほど痛がることもある。

 ・さすってやったり抱っこしたりしていると痛みは軽減する。

 ・翌朝にはまったく痛みは訴えない。

 ・痛みは不定期に繰り返しおこる。

 ・3歳から小学低学年の小児によくみられる。

 ・保育所や幼稚園、学校などでの生活には支障はない。

 成長痛という用語は一般の生活でもよく用いられています。ウェブサイトで成長痛を検索すると、典型的な幼少児の下肢痛として使用しているサイトは45%にすぎず、思春期のスポーツ障害による痛みを成長痛と呼んでいるウェブサイトが35%にみられます。このように成長期の四肢の痛みという意味で、さまざまな疾患に対して成長痛という呼称が使用されている現状があります。

 小児の骨の成長に伴って痛みが発生することは医学的にありません。しかし、幼少児の成長痛の原因はいまだ分かってはいません。好発年齢は3〜5歳の幼児で、疼痛部位は膝から足部に多く、疼痛発生時刻は夕方から夜半にかけて多いのが特徴です。泣くほどの疼痛を訴える児もいますが、疼痛の強さは診断上の意義は少なく、痛みの持続時間が問題です。

 痛みに対しては、特別な治療方法はなく、疼痛時には疼痛部位をさすったり、外用剤を貼付するなどの処置で様子をみてよいと思われます。後遺障害についての報告はなく、小学生以降では年齢が進むにつれて痛みの頻度は自然に少なくなっていきます。

 

               四国こどもとおとなの医療センター 小児整形外科医師   横井 広道


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