便秘(2020/03/02)

  便秘は、@機能性便秘(腸管機能の低下によるもの)、A症候性便秘(全身性疾患の部分症として生じる二次性便秘)やB薬剤性便秘が大部分を占めます。その他として、器質性疾患(大腸がんなど)があります。今日は@を中心にお話しします。

 機能性便秘は、加齢に伴う食事量の減少、日常活動の低下、生理的機能の低下(若者の60%程度)が便秘の誘因となります。70歳以上の高齢になると、生活指導や食事療法と下剤の併用も必要となります。規則正しい食生活は、胃結腸反射を利用するもので、朝食後の排便習慣を身につけることです。食事内容は、芋類・ゴボウ・野菜・果物・穀物など食物残渣の多いもので、便量が増加し、水分量も増加します。その結果、腸通過時間の短縮や腸管刺激も増加します。逆に、大腸の運動を低下させるような消化の良い残渣の少ない食物を避けることも必要となる場合もあります。また、腸内細菌のビフィズス菌が減少すると、腸内の異常発酵による便秘になります。対策として、乳酸発酵食品の摂取やビフィズス菌を直接内服して増やすか、ビフィズス菌増殖を助ける物質(オリゴ糖、ビタミンB群、パントテン酸、ビオチンなど)の水溶性ビタミンを摂取することや便座でのしゃがむ姿勢は排便補助効果となります。生活活動の是正や食事療法の改善、散歩にもかかわらず便秘が続く場合は、下剤の併用となります。

 便量を増やすものとして、膨張性下剤が多量の水分を含み、排便を促します。腸内容を軟化し、腸管を刺激する塩類下剤浸透圧作用により効果を示す、糖類下剤が第一選択となります。不十分であれば、腸液分泌促進剤がおすすめです。さらに、大腸刺激性下剤の適時使用が必要となります。

 Aについては、高齢になると何らかの疾患を抱えるもので、この便秘は原因を見極める必要があります。近医で相談されるのが一番だと思います。お元気で!

 

                           善通寺前田病院   佐尾山 信夫


一覧に戻る

Copyright (C) 2001-2006 Nakatado gun & Zentsuji city Medical Association. All Rights Reserved