尿路結石と予防について(2020/05/07)

 尿路結石の罹患者は近年増加傾向にあり、男性では7人に1人、女性では15人に1人が一生に一度は尿路結石に罹患するといわれています。中高年の方に多い疾患ですが、10〜20歳代の若い患者さんも珍しくありません。

 尿路結石の原因は、地域、気候、食事、職業などの生活環境から年齢、性別、遺伝的要因などさまざまであり、これらは単独ではなく複数の因子が重なりあって結石発生に関わるとされています。

 特に肥満、糖尿病、高血圧といった生活習慣病との関連は多くの疫学研究で証明されており、メタボリックシンドロームの一疾患ととらえることもできます。実際に、尿路結石に最も多いとされているシュウ酸カルシウム結石は、一部の病気を除いて食べ物からのシュウ酸の過剰摂取が原因となります。

 ご存知の方もいると思いますが、これらの結石は時に(主に尿管に詰まった時)激しい痛みや吐き気などの症状を引き起こし、中には尿路感染や腎不全を併発して重篤になることもある決して無視できない病気です。

 5〜7o以下の小さな結石であれば尿と一緒に自然に排せつされることも多いですが、それ以上の大きなものでは手術が必要になります。予防には十分な水分摂取(1日2L以上が目安)とバランスの良い食事、積極的な運動が基本となりますが、クエン酸の摂取なども結石形成に予防効果があるといわれています。

 最近、私がよく患者さんに勧めているのがクランベリージュースです。クランベリー自体は古くから尿路感染や結石の予防効果があるといわれてきましたが、人によっては結石を溶かすことができる場合もあります。インターネットや通販などで簡単に購入でき、経管栄養の方にも注入ができます。ただし、基本的に効果があるのは感染結石だけと考えたほうが良いでしょう。いずれにしても食事や水分に制限のある方もいるので、主治医の先生とよく相談して治療に取り組んでください。

 

                                       四国こどもとおとなの医療センター 泌尿器科医師   湊 亮詠


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