甲状腺の働きの異常による症状と病気について(2020/07/01)

 甲状腺の病気の患者さんは500〜700万人と推測され、その中で治療が必要な人は約240万人と、よくある病気ですが、実際に治療を受けているのは約45万人といわれています(甲状腺学会ホームページを引用)。

 甲状腺は首の前側、のど仏のすぐ下にある蝶が羽を広げた形をした臓器ですが、普通は触ってもわかりません。甲状腺の働きは、甲状腺ホルモンをつくり、血液中に放出(分泌)することです。甲状腺ホルモンは、脳の活性化・体温の調節・心臓や胃腸の活性化・新陳代謝を促進(エネルギーを作る)する大切な働きがあります。そのため、甲状腺ホルモンが少なすぎても、多すぎても、体調が崩れてしまいます。

 甲状腺の働きに異常が生じ、甲状腺ホルモンの分泌が少なすぎる状態を甲状腺機能低下症といい、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎる状態を甲状腺機能亢進症といいます。

甲状腺機能低下症の症状は脈が遅い・寒がり・気力がない・皮膚がカサカサする・体重増加・物忘れ・便秘などです。甲状腺機能亢進症の症状は、ドキドキする・暑がり・汗が多い・手のふるえ・イライラしやすい・体重減少・食欲が旺盛などです。甲状腺機能低下症・亢進症の共通の症状としては、疲れやすさ・だるさです。コレステロール値、血糖値などの急な変化が認められた場合も、甲状腺の働きの異常を疑う必要があります。

 甲状腺機能低下症の原因の代表的な病気には慢性甲状腺炎(橋本病)が、甲状腺機能亢進症の原因の代表的な病気にはバセドウ病があります。甲状腺ホルモンの異常に特有な症状でないことから、その病気を疑って検査をしないと、見過ごされやすい病気です。早期発見・早期治療のためにも、症状に心当たりがある時は、かかりつけ医にご相談され、必要に応じて専門医の受診をお勧めします。

 

                              岩本内科医院   松原 修司


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