唾石症(2021/06/01)

 体の中に石ができる病気がいくつかあります。尿路結石や胆石などはお聞きになったことがあると思います。数は多くありませんが、唾液腺の中や唾液の通り道(導管)にも石ができることがあり、これを唾石症といいます。石は唾液中のリン酸カルシウムなどが結晶化したものです。

 唾液は主に耳下腺や顎下腺で作られます。一日に作られる唾液の量は、尿量と同じく1500ml程度で導管を経由して口の中に出てきます。食事の時に多く作られますが、順調に唾液が流れている限りは唾液腺が腫れることはありません。しかし、石ができると唾液の流れがせき止められて、食事の最中に唾液腺が痛みを伴い腫れてきます。ウイルスや細菌感染による炎症では腫脹が持続しますが、唾石症の場合には、時間とともに石との隙間から唾液が流れ出すため、腫脹は徐々に引いてくるのが特徴です。同様の症状が食事のたびに繰り返す場合には、治療が必要となります。小さな石では自然に出てくることもあるため、唾液腺マッサージをして石の排出を促します。口の中から確認できる場合は、外来で粘膜を切開して石を取り出します。口腔内でも深部のものや唾液腺の中にできたものは、入院して全身麻酔下で皮膚を切開して唾液腺ごと石を摘出することになります。

 

                                                                                                                                              耳鼻咽喉科小野医院   小野 一郎


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