転ばぬ先の杖 シニア世代の頭のケガ(2021/08/02)

 救急車で運ばれてくる方の中には、頭にひどいケガを負われた方がいます。スタッフと協力し、急いで検査や治療を行い、時には大きな手術になることもあります。

 頭のケガにはさまざまな原因がありますが、65歳以上の重症頭部外傷に限っていうと、転倒・転落が半数以上と多くを占めています。重症の頭のケガと聞くと、激しい交通事故などが思い浮かぶかもしれませんが、おうちや、近所の散歩道でこける、階段から落ちるなど日常生活でおこることが多いのです。転ぶ原因は住宅、道など環境によるもの、運動不足やふらつきなどご自身の状態によるものなどが挙げられます。と、いうことは環境や体調を整えることが転倒を予防することになります。

 では、こけない・転ばないためには、どのような運動をすればよいのでしょうか。例えば、ウォーキングなどが思い浮かぶでしょうか。ですが、意外なことにウォーキングの転倒予防の効果は、はっきりしていません(脂肪燃焼や生活習慣病の予防効果はあります)。運動としては、スクワットや片足立ち運動が推奨されています。足腰が弱くスクワットがきつい方には、椅子からの立ち上がり運動もおすすめです。こけないように机に手を添えて、ゆっくり立ち上がる、または片足立ちをする。それを繰り返してみてください。

 新型コロナウイルス感染症のため、外出の機会が減っていると思います。筋力が落ちやすい状況ですので、おうちでできる運動をしてみてください。

 

   四国こどもとおとなの医療センター 脳神経外科医長・脳卒中センター部長   大北 真哉


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