心不全について(2022/05/02)

 2020年の日本人の死因第1位は悪性疾患(27.6%)ですが、第2位には心疾患(15.0%)が入っています。かつては、脳血管疾患が死因の1位でしたが近年は減少しており、代わりに心疾患が上位を占めるようになっています。急性心筋梗塞や弁膜症などの心疾患は適切な治療が行われないと、やがて心不全という病態を引き起こします。心不全は、簡単にいえば心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり生命を縮める病気です。さまざまな心臓に起こる病気が適切に治療されないと、最終的には心不全という病気につながっていくと考えてもらえばいいと思います。心不全はなかなか完治することが難しく、何度も入退院を繰り返して寿命を縮めることになります。心不全患者は、統計上、今後15年ほどは増え続けるといわれており、これまでにない多くの人が心不全にかかる時代が来ることから『心不全パンデミック』という言葉が使われるほどになっています。

 心不全の原因となる心疾患で一番多いのが虚血性心疾患と呼ばれる病気です。コレステロールが心臓の血管(冠動脈)にたまり、血管が狭くなる狭心症や、冠動脈に血栓ができて突然詰まってしまう急性心筋梗塞があります。心臓の筋肉に血液が十分に行き渡らないために(虚血状態といいます)心臓の筋肉に大きなダメージをもたらします。

 健康診断で心電図の異常、胸部レントゲンでの心臓拡大を指摘された人は無症状だからと放置せず、心臓の病気を疑って精密検査を一度は受けてみることをお勧めします。以前に比べて息切れや動悸を感じる人は、ぜひかかりつけ医に相談してみてください。

 

 

四国こどもとおとなの医療センター 内科系診療部長 循環器病センター部長   竹谷 善雄


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